認定介護福祉士とは

介護福祉士の上位資格

介護実務の国家資格として、介護福祉士が生まれたのが1987年。制定された介護福祉士法には、このように記載されています。

介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと」

介護福祉士法より

それからすでに30年近くの年月が経過し、介護の分野も利用者の急激な増加やニーズの多様化といった様々な問題に直面してきました。

地域で安心して暮らしていける地域包括ケア体制を進めていくため、介護福祉士にも医療やリハビリなど他職種との連携が求められ、幅広い役割を求められるようになりました。

また、社会福祉士に認定社会福祉士、看護師に認定看護師があるように、介護福祉士にも同様の上位資格を作ることで、介護実務の専門職のキャリアパスを構築することを求める声も大きくなっていきました。

そこで、生まれたのが認定介護福祉士です。

介護イメージ

認定介護福祉士に求められる役割

認定介護福祉士にはこのような役割が求められています。

生活を支える専門職としての介護福祉士の資質を高め
  ①利用者のQOLの向上
  ②介護と医療の連携強化と適切な役割分担の促進
  ③地域包括ケアの推進 など
介護サービスの高度化に対する社会的な要請に応える。


介護の根拠を言語化して他職種に説明し共有したり、他職種からの情報や助言の内容を適切に介護職チーム内で共有することで、他職種との連携内容をより適切に介護サービスに反映することに寄与する。

介護福祉士の資格取得後の継続的かつ広がりを持った現任研修の受講の促進と資質の向上を図る。つまり、介護福祉士資格取得後も介護業界で努力し続け、継続的に自己研鑽する拠り所となる。

介護福祉士の資格取得後のキャリアパスの形成

一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構ホームページより

日本介護福祉士会が認定介護福祉士の創設に向けて行った調査(質の高い介護サービスの提供力、医療連係能力等を持つ介護福祉士(認定介護福祉士)の養成・技能認定等に関する調査研究事業)では、このような役割が期待されると記載してあります。


介護職チーム(ユニット等、5~10名の介護職によるサービス提供チーム)に対する教育指導、介護サービスマネジメントを行い、介護職チームのサービスの質を向上させる役割
(施設・事業所の介護サービスマネージャー)


地域包括ケアを推進するため、介護サービス提供において他職種(医師、看護師、リハビリ職等)との連携・協働を図る役割

(介護サービス提供における連携の中核となる者)

地域における、施設・事業所、ボランティア、家族介護者、介護福祉士等の介護力を引き出し、地域の介護力の向上を図る役割
(地域における介護力向上のための助言・支援をする者)

質の高い介護サービスの提供力、医療連係能力等を持つ介護福祉士(認定介護福祉士)の養成・技能認定等に関する調査研究事業(日本介護福祉士会)より

認定介護福祉士に求められる3つの役割について、それぞれ解説していきます。

介護職と他職種の連携イメージ

介護職のチームリーダーとしての役割

ひとつは施設・事業所内のリーダーとしてマネジメントや教育指導を行い、サービスの質の向上を目指すという役割です。

介護職員のチームをまとめる統率力やマネジメント力に優れたリーダーとしての役割が求められています。施設などでいえばいわゆるユニットリーダーやフロアリーダーと言われるチームの中核的な存在がそれにあたるでしょう。また、在宅の分野でいえば、訪問介護のサービス提供責任者などが担っている役割などもそれにあたるでしょう。

連携の中核としての役割

地域包括ケア体制の下では、様々な他職種の連携が必要な場面が多くなり、その際の連携の中心としての役割も求められています。

これまではどうしても看護師やリハビリなどの医療系専門職の意見が強く、一番利用者と長く時間を共にし、身近にいるはずの介護職の意見が通らないといったことも少なくありませんでした。

介護の専門職には、自分たちの行っているケアを科学的に根拠を示しつつ、言語化していく能力が不足している面が非常に大きくありました。そういった部分を補いながら、介護と医療など、多職種間での連携を行っていく役割として、認定介護福祉士の存在が求められています。

地域の介護力を高める役割

地域包括ケアでは公的介護保険サービスなどの公的サービスだけではなく、地域のボランティアなどの活力を生かしながら利用者の生活を支えていくことが求められています。介護保険の財源には限界があり、ボランティアにより運営される地域のサロンや介護予防のためのミニデイ、自治会などによる助け合い活動など、地域での助け合いという共助の力が必要になります。

そういった地域の介護力を高めるために、認定介護福祉士のリーダーシップが必要になる場面が増えてくるのではないかと定義しています。

このように、介護職・多職種・地域など、利用者にかかわる様々な人たちを介護の視点から結び付けていく役割が認定介護福祉士に求められるのです。

認定介護福祉士の活躍の場

認定介護士に求められる役割について紹介しましたが、具体的にどのような場で認定介護福祉士が求められるのか。

一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構ではこのように説明しています。

認定介護福祉士の活躍の場(一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構より)

施設や病院・事業所・行政など、様々な場所で、認定介護福祉士の活躍の場があると示されています。

ただ、現時点で認定介護福祉士の資格を取得された方の多くは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設に勤められている方です。

在宅の分野では、大手の介護サービス事業所でサービス品質の向上などに努めている方などが数名取得されている程度ですので、やはり施設での介護職のリーダーとして活躍する場面が多いと思われます。