認定介護福祉士インタビューから見える認定介護福祉士養成研修の闇。

介護のお仕事研究所というホームページで認定介護福祉士の方のインタビューが掲載されています。
非常に興味深い内容なので、ぜひご覧ください。

「ゴールはない。資格取得後も学び続ける」全国28人のひとり!現役の認定介護福祉士・松川春代さんインタビュー

記事の中から気になる部分について紹介します。

家事などの主婦業との両立のため、近所のデンマークイン新宿のデイケアに介護職として入職。しばらくすると、介護職と相談員を兼務することになりました。
相談員の仕事柄、地域の人やケアマネジャーとの関わりが増えたので、知識を得るために介護支援専門員や社会福祉士の資格を取得しました。
老健デイケアで7年ほど勤めて、入所フロアに異動になり8年目を迎えます。

現在は介護科の副科長として、現場のヘルプに入ったり、教育に携わったりしています

ということで、現場バリバリで勤務というよりも、
相談員としてのキャリアがあったり、現在は介護科の副科長という立場で現場にはヘルプで入るような関わり方をしているようです。

___なぜ認定介護福祉士を取得しようと思ったのですか?

松川:ある日突然、理事長に呼ばれ「松川さんちょっと研修に行ってきてくれない?」と勧められたことがきっかけです。
実は、認定介護福祉士については、当時あまりよく知りませんでした。
理事長からは、「ゆくゆくは法人全体の教育担当になってほしい。そのために認定介護福祉士の資格取得をしてほしい」旨を伝えられました。

当時は主任をしていたので、教育などのマネジメントをするうえで、学ばないとわからないことが多いと実感していました。また、老健は、医師や看護師、リハビリ職などの他職種連携が大事な環境でもあります。学びたいと思っていた教育や他職種連携の知識が得られる機会をもらえたことに感謝し、認定介護福祉士にチャレンジすることを決めました。

認定介護福祉士の研修受講するに至った理由は完全にトップダウンですね。
業務命令という形で研修を受講することになったようです。
つまり、個人で費用等を負担するのではなく、法人の命令で業務として受講している、ということになるのでしょう。

___想像以上に大変そうですね……。

松川:はい。事前課題だけではなく、月に1~2回、土日に行われる集合研修にも苦労しました。だいたい10~18時まで講義を受講するので、その日は必ず休みを取る必要があります
この研修以外の休みの時間で、事前課題と家のことをしていたので、ほとんど休み返上で励んでいました
といっても、私は東京在住なので、恵まれているほうです。
受講生のなかには北海道や熊本県在住の方もいたので、集合研修のために時間とお金をかけて東京に来る人もいました
私と同じように、施設から資格取得を勧められた人であっても、環境が変わり、人手不足になって、現場にいてほしいと言われる人もいます。受講生一人ひとり、それぞれの理由から大変な思いをしていたと思います。

え?
講義を受講する日は休みをとっていたの?
業務命令で受講したからそれって勤務じゃないの?

という突っ込みをしたくもなりますが、
いまだにやはり介護の現場では業務命令の研修でも休みをつぶしていくことが多いですよね。

で、研修・・・そりゃ大変でしょう。
職場もそのためにシフトを調整する必要があるので、職場内での理解を得ることも大変でしょうね。

そして、北海道や熊本から東京まで来ている人がいると、
当然余裕をもって休みなんてもらえないでしょうから、きっと日曜の夜には出発、かなりハードな研修ですよね。

最初は400時間と言われていた研修でしたが、あとから200時間追加され、合計600時間となりました。すべて受講し終えるまで5年ほどかかりましたが、受講生のときは、いつ終わるのかわかりませんでした
「いつまで続くのだろう」と苦しい時期もありましたが、受講生みんなで励まし合うことで乗り越えることができたと思います。

カオスですね。
400時間で修了する予定が200時間追加されたって、気が遠くなりますよね。
スタートアップなので起こりうることかもしれませんが、これだけ時間数が増えるって、
そんなずさんなことってあるの?

そして研修終了まで5年間って、
最初に学んだ知識は5年後にはもう時代遅れの古い知識になっているかもしれませんね

___認定介護福祉士を取得する前と後で、変化はありましたでしょうか?

松川:資格取得前は、介護職としての視点だけで利用者さんを見ていました。
資格取得後は、利用者さん側の視点や医療・リハビリなどの視点からも見ることができるようになり、多角的な視点で利用者さんのことを考えられるようになりました。

介護はチームで行う仕事です。ひとつの問題に対して、介護職の視点だけで考えてしまうと、解決が難しくなったり、他職種とトラブルが起きることもあります。
介護職の考えだけに偏らず、他職種が思い描く視点を予測することは大事な能力です。
視点だけではなく、介護職側が考えるケアをスムーズに他職種に伝えられ、利用者さんのためになるような建設的なアプローチも可能になりました
利用者さんやそのご家族に対しても、根拠を持って伝えられるようになり、普段の介護の仕事だけでは到底得られないスキルだと実感しています。

いろんな視点を学ぶことができるということもありますし、
体系的に学ぶことでケアを言語化することはできるようになるでしょうね。
言語化できるから、今まで多職種間での話し合いの場でも発言力の弱い傾向にあった介護職が、
自分たちのケアを言語化し、根拠を示していくことができ、
本来あるべき対等な多職種連携ができるという期待はあります。

ただ、他職種の視点を知ることはできても、
他職種には他職種でそれぞれに責任や専門性があるのですから、
そこをコーディネートする役割の職種が存在するのです。

本来コーディネートする役割を担うケアマネや管理職などがいるのですから、
そこの役割分担をはき違えてはいけないのかなと思います。

いろんな部分がこのインタビューからも見えてきましたが、
業務命令で受講させる法人・施設のみなさま、ぜひ業務扱いで受講させるようお願いいたします。

認定介護福祉士インタビューから見える認定介護福祉士養成研修の闇。

welconnect

介護福祉ウェブ制作ウェルコネクトの代表。ウェブ制作を通して介護が社会に開かれることを目指しています。 ウェブサイト制作やリニューアルについてのご相談もお待ちしています。

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