みんなの介護に認定介護福祉士についてのコラムが掲載されています。
上級資格「認定介護福祉士」には賛否両論…介護職員にとってのメリットは?どうすれば取得できる?介護の現場を変える一手となるか!?
介護人材をどのように育成していくか。2011年から厚生労働省内で検討が進んでいた育成システムが「認定介護福祉士」です。厚生労働省の資料によると「認定介護福祉士」とは、「多様化・高度化する高齢者や障害者の求める介護ニーズに対し、利用者の希望する生活を長く継続できるよう、高度で総合的な知識・技術に基づいた質の高い介護サービスの提供や、チームケアの質を向上することができる介護福祉士」とされています。 2011年に育成カリキュラムの骨格がまとめられ、その後の実証実験を経て制度化されました。
これを受け、認定介護福祉士の養成研修の認証と養成研修を経た者を認定介護福祉士として認定する機関である「一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構」(以下「機構」とします)が2015年12月1日に設立されました。
定款によると、設立時の社員は「一般社団法人全国介護事業者協議会」「公益社団法人全国老人保健施設協会」「公益社団法人日本介護福祉士会」「公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会」「社会福祉法人全国社会福祉協議会」の5団体です。
(中略)
高齢者人口の増大から、介護人材の高度化が急務なのは理解できます。しかし、多忙を極める介護現場のなかで、どれだけの介護福祉士がこの研修を受講できるか疑問です。
これに対して、機構設立時社員である公益社団法人日本介護福祉士会は「働きながら受講できるよう、研修の土日開催や夜間授業、eラーニング等を活用する」(出典:平成26年3月「質の高い介護サービスの提供力、医療連係能力等を持つ介護福祉士(認定介護福祉士)の養成・技能認定等に関する調査研究事業」報告書)と回答しています。介護福祉士の現状に対応したより細やかな措置が必要でしょう。
また、研修機関が偏在しないかも心配です。というのも、同報告書に「制度構築後、出来る限り各都道府県で認定介護福祉士となるための研修が受講できるよう努める」との記述があるからです。都市部など介護事業者や養成機関が集中する地域なら、円滑に認定は進むかもしれません。
しかし、過疎地はどうでしょうか。受講対象職員を研修期間に派遣するにも旅費や日当などの費用がかかります。
それに、受講者にとっては、資格取得がキャリアアップと賃金アップにつながるのか気になるところです。取得しても、「業務量と責任だけが増えた……」となる可能性もあります。正直なところ、認定介護福祉士制度が広がるかどうかは、介護事業者の考え方次第と言えるでしょう。
(中略)
超高齢社会を見越した介護人材の育成は急務です。認定介護福祉士のような上級資格を制定することも一案でしょうが、より介護現場に即した手法が求められています。
介護職員の窮状は周知の通り。まずはこの現状を変えなければなりません。介護職員が担当業務に誇りを持ち、長く働き続けられるよう、国・自治体・事業者が一体となって環境整備を図ることが何より重要なのではないでしょうか。
この記事の中では、
認定介護福祉士が設立されたとしても、
資格取得によるキャリアアップや賃金アップにつながるかどうかという疑問と、
すでにスタートしている認定社会福祉士についても全国でたったの220名のみで、社会福祉士全体のわずか0.1%にしか過ぎず、
資格取得のハードルの高さを疑問視する内容が記載されています。
上級資格を作るのがゴールではなく、
資格取得の意義を感じられるものであって、その上級資格が活躍できる環境を整備していくことが大事なのではないでしょうか。